[好きで、スキで、すきで]
怖いと思った。
このまま俺はどうかなっちまうんじゃないかと。
・・・いや、それよりは。
「観月をどうにかしちまうんじゃないか」と、怖くなった。
スキでスキでどうしようもないから。
いつかは、力任せにどうにかしてしまいそうで。
そんな事を途切れ途切れに、まとまらない言葉で観月に話した。
伝わったかどうかは、俺にも観月にも解らなかったが、彼はただ優しく笑う。
それが綺麗で、思わずなきそうになった。
観月は綺麗だ。
ただ真っ白の女神ではなく、混沌や薄汚れた美しさ。
スキだと思ったら、キスをしていたらしい。
驚いて見開かれたのは、俺の瞳。観月の薄茶の瞳ではなく。
けれど、驚いたのは二人とも同じだったらしく、観月は「貴方って人は」と笑った。
「・・・ほら、怖くは無いでしょう?僕は。触れてもなくならないでしょう?」
聖母様ではなくて、俺の母さん見たく観月は俺を抱きしめる。
人の温もりがして、また少し怖くなった。
観月が欲しいと、声に出して泣く。
怖いんだ、とまた繰り返し。
わからない、其れしか浮かばない。
生温い血液の温度は、俺の支配欲と焦燥感を掻き立て、理不尽に彼を抱きしめさせる。
いつまでたっても、ソレは消えない。
怖くてたまらない。
ソレは彼が男で、俺も男で、まだ中学生で、何も解らず、きっとそう言ういろんな事なんだ、と少しだけ考えた。
思いはいつか、観月を壊すと思った。
「バカですね、やっぱ。」
仕方ないですね、といわんばかりに観月は嘲笑う。
誰に対する笑みなのか、俺が理解する前に言葉を繋げる。
「好きになったら、大事なのは自分の気持ちでしょう?ボクは、貴方の気持ちなんてどうだっていい。関係ないですもん。」
まぁ、ようは信頼してるんですよ。といわれて目じりにキスを貰った。
それで俺は自分の涙に気づいた。
泣いていて気づかなかったことなんて初めてで、少し笑える。
「こわしちまいそう・・・。」
「そんなにヤワじゃありません。」
ゆっくりと、壊れそうなくらい抱きしめるとやはり涙が止まらなくて。
観月の石鹸の香りが鼻をくすぐった。
「んじゃ・・・・もう容赦しない。」
「勝手になさい。」
満足そうに微笑んだ観月は、大丈夫と言うように俺の頬を両手で挟んだ。
愛してる。
これだけでいいんだ。