[ハンバーガーショップ] 愛が何か、小学生が歌っている。 店内に流れるポップスに三上は眉を潜めた。 「どうした、三上?」 トマトとレタスが潰されたハンバーガーを口に含みながら渋沢が聞いた。 三上はそれには答えずに、噛み跡のついたストローを咥えた。ほんのり、プラスチック味。 声だけでは名前がわからない歌手は、それでも確か小学生だったのだと思う。 愛が何か、歌っている。 それは原色に囲まれた世界で聞くのにお似合いなシチュエーション。 「愛してる。」 口に出す、五文字。 渋沢は少し首をかしげて「何?」というような顔をした。 その横を女子高生が大笑いをして通っていく。でさー、まじ信じられんないっしょ?やめなよあんな男ぉ 「って」 青いスカートの中身を少しだけ想像して三上は言った。 カサカサ音を立てる包み紙を開くとマヨネーズの匂い。ゆっくりとしたバラードに曲は何時の間にか変わっていた。 いらっしゃいませー、何度も繰り返される店員の笑顔と自動ドアの開閉音に気が狂いそうになる。 「お前、思う?」 誰に思うのか。 誰を思うのか。 三上には、それはどうだって良かった。 ただこの雑音と歌詞なんて聞き取れないBGMの中で渋沢が気が狂わないわけを知りたかった。 いや、本当は。 ハンバーガーはマヨネーズの甘さが気持ち悪くて一口でやめた。 「俺は…」 色料に染められた飲料水を見つめて渋沢は音を生む。 聞き漏らさないように、三上は口の端のついた白い粘着質の物体を取らずにいた。 「思うよ?」 そう、彼は笑った。 とあるハンバーガーショップで。 FIn ハンバーガーショップでの会話。 意味がわかんないですね(笑) 愛してる=狂気、という三上の思考って感じ……なんですが………。