サンキュ.


横にいてくれて、よかった。
あなたが、横にいてくれてよかった。


誰でもよかったと思ったのに
本当は
あなたがよかったのかもしれない。

「…さっき、さよならって言ったの。」
黙って横にいてくれるのは本当は貴方じゃないほうが良かった。
似ても似つかない金髪は、逆にあの人の思い出させる。
さよならと告げた時に、あの漆黒の髪は揺れたのかしら。
「泣かなかったわ。」
泣くことは、違うと思った。すくなくとも、あのひとの前で泣く事は。
隣の男はそれこそ何も言わずに私の隣で道を眺めている。
「責めなかったし。」
責める理由を探しても見つからなかったのだ。だってあまりにもまだ愛しすぎる。
それは一生変わらないだろうから。
泣く事も、責めることも、嘆く事も敵わない。
ただ一瞬でも、通じ合えた事も喜ぶべきなのだろうかとさえ思える。
金髪の男は
「…偉かったね。」
と笑っている。でも自分が吐き出した煙草の煙で涙目。
それがおかしくて声立てて笑ってしまったじゃない。真夜中なのに、近所迷惑だわ。
「あ~…ちょっとかっこ悪いですけど。」
「なに?」
ちょっとかっこ悪いのは今にはじまった事ではないでしょ?と尋ねたら面白いくらいに拗ねてみせるのが可愛い。
弟みたいねと思った。
もう一度「あー」っと唸ってから
「髪切るんなら付き合いますよ。」
なんて真剣な顔で言うから、笑っちゃったじゃない。
ああ、そう笑っていたのよ私。
笑えていたの。

「ハボック准尉。」

「協力感謝いたします。」
「…いえ。」
軽く会釈をした男はきっとちょっとカッコ悪いけれど、とても頭はいいのだなと思った。
本当に。
本当に。
「あなたがいてくれてよかったわ。」
でなければ、代わりにきっと私は壊れてしまっていたかもしれない。
でも、壊れる事なんてアノヒトが許してくれないから。
「ありがとう。」


FIN
ロイアイは恋人同士としては上手くいかないと思う。
ロイさんはリザさんに恋人とは違うものを求めてると思うから。
ハボックはやたら女の子に優しいと思う。